某製造メーカーの子会社で社内SEとして働いている私ですが、ここ最近転職を試みておりました。
社内SEではなくSEとして働けないかな?と考えていました。
しかし、結論から書きますと転職をいったん断念しますw
社内SEとしての実績は、SEへの転職にはまるで役に立たないからです。
現在34歳なので、転職のチャンスは減る一方ですが、自身の強みをもっと伸ばしてから再度どうするか考える事にします。
今回の記事は情報系の新卒の方や、社内SEへの転職を考えている人、社内SEから脱出を考えている人に向けた記事です。
結論
いきなり結論を書きます。
キャリアの事を考えると、新卒の方は社内SEにならない方がいいです!!
性格面で言えば、人にお願いするのが苦手な人。
じゃあどんな人にお勧めなのかというと、
- 現在SEとしてガッツリ働いていて、収入よりもワークライフバランスを重視する人
- 人にお願いするのが上手な人(苦にならない)
こんなところです。
社内SEの経験が長くなると、その間は業務の専門性が低くなってしまいがちなので、次の転職につなげにくくなると思います。
そもそも社内SEの仕事内容って?
会社により様々だと思いますが、おおよそ以下のとおりです。
細かい部分も含めるともっとあると思いますが、主だった部分のみ記載。
- 社内情報インフラ(ネットワーク、サーバ、PC等)の導入、運用
- 社内システムの導入、運用
- 情報セキュリティ管理
- ヘルプデスク
大企業などでは基本的に各業務とも上流ばかりになると思います。
仕様や要件を決め、実作業はベンダーにお願いするなど。
中小企業などでは、実行部隊も兼ねることが多いと思われます。
とは言え、一般的には「社内SEは上流だけ」と思われる事が多いように思います。
今回は転職についての記事なので、ざっくりここまでとします。
新卒の方に社内SEをお勧めしない訳
一言で書くならば、深いスキルを身に付けることができないからです。
社内SEは会社のITに関する幅広い業務をこなす一方で、開発業務をガッツリやったり、ネットワークを一から構築する事は稀です。
特に大企業なんかでは開発は外注するでしょうし、ネットワークも既に出来上がった環境を使う事になるでしょう。
インフラに関しても要件を決める所だけやって、実作業はベンダーに依頼するところが多いと思います。
私の勤務先もそんな感じです。
開発は少しするけど。
ただやっぱり思うのは、SIer出身の人には開発で絶対に敵わないですね。
そうなると、社内での提案力にも差が生まれてしまいます。
発言力に絶大な差を感じます。
性格によっては社内SEをお勧めできない!!
新卒か否かに関わらず言えることがあります。
それは、人にモノを頼むのが苦手な人は社内SEに不向きだという事!
私が社内SEを脱しようとした理由の一つがこれです。
社内SEは会社のIT化に関して、ブレインとしての役割が求められます。
そのため機械的な業務が発生したら自ら処理する事は求められません。
機械的な業務を誰でもこなせるよう簡素化し、手順書を整備するのが役割の一つですからね。
そう、頭ではわかっているんです。
でも思いのほか、これが難しい。難しいというか心苦しい。
ユーザ側から求められていない改善業務などでは特にそうです。
機械的な作業をしてもらっても、お金が発生しないですからね。
「え、ユーザ側が求めていない改善をするとかあり得るの!?」
と思う方がいるでしょう。
即答します、あり得ます。
「情シス部門が中心になってIT化を進めろ!」みたいな会社の方針であったり、親会社から半ば強制的にシステムを導入させられたり。
私からすると、こういう業務は苦痛でしかありませんw
社内SEがお勧めな人!
上でもちらっと書きましたが、SEとしてガツガツ働いている人で、収入よりもワークライフバランスを重視する人ですね。
社内SEは管理部門なので、余計な残業は好まれません。
SE時代は数十時間残業するのが当たり前だったとしても、社内SEは多くても30時間程度ではないでしょうか。
なので残業代では稼ぎにくくなると思います。
私も20時間前後が多く、残業時間が増えてくると控えるよう言われます。
性格面ならば、社内SEに求められる役割を苦痛なくこなせる人ですかね。
人に作業をお願いするのであったり、部門間とのスケジュール調整であったり。
人と話すことが多い仕事というのは知っておいたほうが良いでしょう。
転職理由について
履歴書に書く内容はポジティブに見えるようにしていますが、ぶっちゃけるとネガティブな理由ですw。
書き方次第だと思います!
一人で作業する時間が無くなりがち
頻繁ではないですが、私もシステム開発(コーディング含む)する事があります。
特にコーディングに関しては楽しく感じています。
VB.NETとVBAが主です。
しかし社内SEの業務の性質上、コーディング作業に没頭する…という場面がほとんどありません。
自身が担当するシステムの問い合わせだけではなく、office(EXCELやOUTLOOK等)等の問い合わせや、PCの故障に関する相談が多々あります。
酷い時は半日以上それらの対応で時間が無くなります。
そして問い合わせ以外は開発業務に取り掛かれるのかというと、そうではない!
情報セキュリティに関する業務であったり、インフラに関わる業務であったり。
めちゃくちゃマルチタスクになりやすい職種だと言えます。
全業務のうち、開発業務の割合は…たぶん1割ぐらい。良くて2割ほど。
そんな仕事の仕方を続けている内に、もっと開発業務を主にしたいという気持ちが出てきました。
自分が損をする場面が増えた
人にモノを頼むのが苦手な人は社内SEに向かない!と書きましたが、私自身にも当てはまる事です。
社内の全部門に対し、横断的に改善する業務を担当しています。
元々は前任者がいたんですが、前任者が業務をほたり投げた事で私のもとへ^^;
その改善では機械的だけど難しい作業が必要で、当初は部門側にお願いする計画でした。
詳しくは書けませんが、マクロを作るのと似たような作業です。
理解させるの難しいよな…と思いつつ、いくつかの部門に作業の教育を終えて確信しました。
「あ、これ絶対作業してもらえないやつや!」とw
情シス的には難しくない業務でも、その他の部門では理解不能な場合が多いです。
前任者は作業をお願いするのに抵抗が全くないタイプだったため、このような計画を立てていたようです。
これでは改善が進まないと感じた私は、この機械的な作業は私で終わらせようと考えました。
結果として膨大な作業を私一人でこなした訳ですが、それにより私が評価される事はありませんでした。
「作業をうまく分担できないやつ」という見られ方をするからです。
また、社内の評価基準が「どれだけ成果を出したか」であるため、数字として結果を出さないと評価されないという点もありました。
元々数字が出るタイプの改善ではなかったため、貧乏くじを引いたな~という気しかしませんでした。
だんだんと転職したい気持ちが強くなり…決意に至る。
黙々と開発業務に取り掛かりたいという気持ちと、損をする場面が増えたな~という感覚から転職したい気持ちが強くなり、ついには転職活動に至る事になりました。
考えていた転職先について
愚痴めいた話はここまでにして、私が転職先として考えていたのは以下のとおりです。
志望度の高い順です。
- WEB制作系
- SE
- PG
- 社内SE(製造系以外)
WEB制作系
エージェント曰く、WEB制作系は「IT系の花形」のようなイメージで、どんな求人でも応募者が殺到するそうです。
事実、地方のWEB制作系会社でも高倍率になっていました。
SE、PG
続いてSE、PGです。
私ぐらいの年齢になると、この職業を目指す場合はリーダー経験が求められるようになります。
開発できるのは当然で、チームをまとめ、より大規模な開発に取り組めるか否か。
社内SE
私の転職理由からすると、また社内SEになるのは愚の骨頂ですw
しかし、とにかく現状を抜け出すだけ!という意味で一応考えていました。
使っていた転職サービス
- リクナビ ネクスト
- リクルート エージェント
- マイナビ転職
- Indeed
- 求人ボックス
- paiza
この内、メインで使っていたのはリクルート エージェントです。
エージェントと相談しながら転職活動をしていました。
面接や試験のアポなど、基本的にはエージェント経由で決まります。
使ってみて面白かったのはpaizaかな。
いくつかの言語でプログラミングスキルを試すための問題が用意されており、問題を解いていく事でランクを上げることができます。
高ランクになる程企業からスカウトがきます。
スキルが高い方は、面接が苦手だったとしても手っ取り早く自身のレベルを示せます。
未経験レベルの方でも、問題を解くことで練習になるので非常にお勧めです。
結果について
3社受け、1社内定、2社選考落ちでした。
1社内定は出たものの、同じく社内SEであり、待遇も然程アップしない事から辞退しました。
内定
某製造系メーカーの情シス部門(社内SE)
不採用
某ユーザー系SIer(某メーカー子会社、SE)
某SIer子会社(SE)
転職活動をして感じた事
とにもかくにも「転職市場での社内SEの弱さ」を強く感じました。
あとは、社内SEとSIerではシステム開発に関する目線そのものが違うな、と。
一転、情シス部門(社内SE)への転職は難しくないように感じました。
社内SEの弱点について
やはり社内SEというのは専門性を低く見られます。
実際、ITに関する事は幅広くこなすけれども、あまり深みにはまる事はないです。
とくにメーカー系子会社だと、親会社のインフラを使わせてもらったりするので、余計その傾向があると思います。
インフラも開発もするけど…それぞれ専門の業者程はガッツリやらない訳です。
グループ内の共通システムを半ば強制的に使わせられたりと、対外的には全く意味をなさない経験が増えていきます。
社内SEとしての経験が長くなればなるほど、転職の市場では不利になる場合が多いでしょう。
元SEで社内SEをしている人はその限りではないですが、新卒社内SEはその辺を意識して業務の経験を積んでください!!
モノづくりとしての開発をしていなかった。
SIerでは、システム開発はV字モデル(要件定義~結合テスト)を通して進めると思います。
しかし私の場合、社内でシステム開発の決まり事が無く、要件定義後にいきなりコーディングする事も。
設計書のフォーマットも存在しません。
また、一人で開発を進める事しかなかったため、結合テストもした事がありません。
要はチームとして、モノづくりとしての開発経験が無かったため、未経験者に毛が生えた程度なんだな~という事を痛感しました。
ソフトウェアの品質についても見方が全然違ったように思えます。
「エラーが起きても後から追えて、すぐに対処できればいいか」
「DBの内容など、致命的な不具合が出なければいいか」
とか、その程度の考えで転職に臨むと痛い目をみるかも。
転職を諦めた理由について
上記のとおり「社内SEは弱い」というのを強く感じ、このままでは転職活動を失敗すると思ったからです。
内定が出たとしても、それが自身の希望するモノとは全然違っていたり。
転職活動を成功させるためにまず必要なのは、自身の強みを高めるのが重要だと思いました。
あとは急いで転職先を決めない事。
自身の強みを高めることについて
社内SEへの転職の場合
同じ社内SEになるのであれば、以下3点を強めたほうが良いです。
- 他部門(or外部)との折衝経験
- ネットワーク、セキュリティ系の実務経験、知識
- システム開発の上流経験(下流もできれば尚良し)
あとは社内SEの考え方をどれだけ把握しているかですね。
システム開発・導入による業務改善だけではなく、社内の業務をいかに継続させるかという点も重要です。
特に工場などでは「現場を止めない」という考えは凄く大事です。
会社によっては下流を全くしない事がありますが、上流はどの会社の社内SEにも必要です。
PG・SEへの転職
ある程度規模の大きな会社(SIer)への転職を目指すのであれば、以下が必要だと思います。
SEとして即戦力になり得るか?年齢次第で、まとめ役もこなせるか?といった目線で見られます。
※私の場合、年齢が30代半ばでしたので、リーダーとしての経験も求められていたようです。
- リーダー、管理職の経験(30代以上は特に)
- 要件定義から結合テストまで一通りの経験
- VB、C#、Javaなどの経験はほぼ必須。
- 新しい技術への学習意欲
転職活動を急いではならない!
今の会社を抜け出したいが一心で転職活動をしている方も居ると思います。
若く、必要なスキルを身に着けている方なら良いと思います。
しかし若さ・スキルいずれかが欠けている場合、その転職活動は失敗に終わる可能性があります。
次が決まらずに現職をやめてしまう事は当然危険ですが、誰でも入れる会社に入るのも同じく危険な事です。
人気のある企業を受けるのは自分だけではなく、何人、何十人いると思ってください。
※実際そうみたいです。
そんあ人気ある企業が、若さorスキルが欠けた人を採用するでしょうか?
現職のスキルがそのままマッチするなら採用されるかもしれませんが、そうじゃなければあり得ないでしょう。
自身のスキルを高め、その時に再度転職を考える。
社内SEであれば、これまでの実績でも大丈夫そうに思えました。
しかしSIerへの転職であれば話は別で、私の場合は年齢・スキル共に危ういです。
そのため、とりあえずスキルだけでも高めて置こうと考えました。
専門性が高い実績を積み、その時に再度転職先を考える事にしました。
転職を完全に諦めた訳ではないので、転職サイトは見続けますけどね。
まとめ
今回の記事では、社内SEからの転職活動について、私なりの感想を書きました。
大事な事を以下にまとめます。
- 新卒は社内SEになるべきではない!
- モノを頼むのが苦手な人は社内SEに不向き!
- 転職市場では、社内SEは「専門性が低い」と見られがち!
- 急いで転職せず、専門性を高めてから転職活動すべき!
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